地元では反対運動ぼっ発! テスラの「ドイツ工場」操業から読み解く、深刻な水資源問題とは
ベルリン近くの工場が操業開始
米電気自動車(EV)大手テスラ初のヨーロッパ工場が2022年3月22日、ドイツのベルリン市内中心部から南東30kmのグリューンハイデで操業を開始した。
当日は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)をはじめ、ドイツのオーラフ・ショルツ首相、ロベルト・ハーベック副首相兼経済・環境大臣も式典に出席し、華々しくスタートを飾った。
その一方で、テスラの新工場建設に際し、地元住民による飲料水問題への反対運動も起きている。自動車産業をはじめとした工業と水資源に焦点をあててリポートする。
テスラ初のヨーロッパ工場と環境問題
テスラ初のヨーロッパ工場は、ドイツのブランデンブルク州のグリューンハイデに建てられた。ベルリンにも近いこともあり、
「Gigafactory Berlin-Brandenburg(ギガファクトリー ベルリン-ブランデンブルク)」
と呼ばれている。
工場敷地は300ha(東京ドーム約64個分)もあり、テスラのイーロン・マスクCEOの構想では、スポーツタイプ多目的車(SUV)のモデルYを年間50万台生産するとしている。
テスラのギガファクトリーの操業により、約1万2000人の雇用が生み出される。ブランデンブルク州は、ドイツ統一前は東ドイツに属していたこともあり、現在に至るまで目立った産業もなかった。つまり、テスラのギガファクトリーは、地元における経済活性化の起爆剤として大いに期待されているのだ。
とはいえ、ここまでの道のりは決して平たんではなかった。ギガファクトリー建設地は、飲料水源の保護地域および自然保護区に隣接していることから、環境保護を理由に建設反対運動が起きていた。実際3月22の式典当日にも、新工場の周辺で反対運動が実施されていた。
テスラによると、サステナビリティ基準にのっとり工場を建設し、かつ野生動物への影響を最小限にとどめ、代替地に植林を実施したとのことだ。また、製造に使われる水量について、車1台あたりの水使用量は競合他社より少ないと強調している。加えて、ブランデンブルク州のディートマー・ヴォイトケ首相も、
「水問題は解決した」
とのスタンスを示している。