地元では反対運動ぼっ発! テスラの「ドイツ工場」操業から読み解く、深刻な水資源問題とは

キーワード :
, , , ,
テスラ初のヨーロッパ工場が3月22日、ドイツのグリューンハイデで操業を開始した。しかし、地元住民による飲料水問題への反対運動も起きている。

日本の3割程度のドイツの水使用量

日本国内の農業用水(画像:写真AC)
日本国内の農業用水(画像:写真AC)

 それでは、国全体の水の使用量に対する工業用水の割合は、どのくらいになるのだろうか。ドイツ国内と日本における水利用用途を比較してみる。カッコ内は水使用量全体に占める割合である。

●ドイツ(2016年)
・生活用水:52億立方メートル(21.7%)
・工業用水:58億立方メートル(24.2%)
・発電用水:127億立方メートル(52.9%)
・農業用水:3億立方メートル(1.3%)
・合計:240億立方メートル

●日本(2015年)
・生活用水:148億立方メートル(18.5%)
・工業用水:111億立方メートル(14.0%)
・農業用水:540億立方メートル(67.5%)
・合計:799億立方メートル

 ドイツと日本の比較において、ドイツでは発電用水が最も多いことに対し、日本では農業が一番多く、それぞれの国の特徴を示しているといえる。

 工業用水割合の比較では、ドイツの24.2%に対し、日本は14.0%と、日本が少ないように見える。ところが、使用量を比べるとそうではない。日本の111億立方メートルに対し、ドイツは58億立方メートルと約半分にすぎないのだ。合計ではさらに顕著になり、ドイツにおける水の総使用量は日本の約30%となる。

 国全体で日本の約3割しか水を使用していないドイツで、まとまった水を使用するテスラのギガファクトリーが操業を開始したのである。地域住民の飲料水の安全という環境問題だけでなく、そもそも住民にとっては水使用そのものに対するインパクトが大きかったとも考えられるのではないだろうか。

全てのコメントを見る