牙を剥く中国車! 揺れる欧州EV市場──「トヨタ」「日産」が直面する生存戦略と世界覇権の行方とは

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欧州市場は中国EV勢の急拡大で構図が逆転している。2025年7月には販売台数が前年のほぼ倍となる6万台に達した。追加関税30%以上でも抑えきれず、欧州メーカーは過剰投資と高コスト構造に苦しむ。次の10年、世界EV覇権を握る勢力はここで決まる。

中国勢が迫る欧州市場

ノースボルトのバッテリー工場(画像:ノースボルト)
ノースボルトのバッテリー工場(画像:ノースボルト)

 欧州市場は世界中のEVメーカーがせめぎ合う縮図となっている。各社のシェア争奪戦は、世界覇権を握るための試金石だ。中国からの自動車輸出は2025年に670万台と予測され、ドイツ生産の約2倍に相当する。欧州市場は中国勢の主要輸出先となりつつあり、欧州で勝利する勢力が世界のEV覇権を握る可能性が高い。

 欧州市場は構造的課題を抱えている。EV普及策と産業競争力強化策の不整合だ。EUはCO2排出規制や電池リサイクル指令を強化してEVシフトを促す一方、欧州メーカーは過剰投資で業績悪化に陥った。バッテリー調達では中国依存が大きく、リサイクル技術でも後れをとる。

 対策として、現地生産へのインセンティブを再設計し、サプライチェーン全体を欧州域内に取り込むことが不可欠だ。さらに、米国インフレ抑制法(IRA)のような包括的産業政策の推進も必要となる。輸入関税への依存から、技術投資や共同開発支援へのシフトが求められる。スウェーデンの新興バッテリーメーカー「ノースボルト」は欧州発の大手として期待されたが、運営上の失敗で資金繰りに行き詰まり、経営破綻に至った。

 今後は、欧州メーカーと中国メーカーが共生的に事業を進める可能性もある。ステランティスとリープモーター、フォルクスワーゲンと小鵬汽車など、既存提携に加え、新たな提携関係の拡大が見込まれる。

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