江ノ電ファン必聴? 「路面電車が往くこの街で……」 新進気鋭女性シンガー・井上園子が紡ぐ、じっと我慢を超えて夢を引く街の旋律
2025年8月、井上園子が江ノ電沿線を描いたCDシングルを発表した。時速15km前後の路面電車と偶然性を象徴に、効率偏重の都市生活で失われた「ゆっくりとした時間」の価値を再提示し、令和世代の共感を呼んでいる。
「大人になるのは止められない」変化の不可逆性と受容

歌詞に何度も繰り返される
「大人になるのは止められない」
というフレーズは、不可逆な変化を前にした肯定の言葉として響く。多くの成長物語が“抵抗”と“諦観”を対立的に描くのに対し、井上の視点は二項対立を超える。変化は避けられない、だからこそそれを抱きしめて進むという態度が、素朴な言葉の背後に潜む。
路面電車というモチーフがこのメッセージを支えている。江ノ電はたびたび車と交差し、観光客にカメラを向けられ、住民の足としても使われる“日常と非日常の境界”にある乗り物だ。その存在自体が
「変わり続けながら残り続ける」
ことの象徴であり、井上が描く“街”は、過去を抱えつつ未来に開かれている。