観光客「一度行けば十分」 そんな名古屋が“水上交通”に執念を燃やすワケーー「道路王国」なのになぜなのか
名古屋市は年間数万石の物流を支えた堀川・中川運河を再生し、水上交通や親水空間を復活させる。都市ブランド向上と観光・生活価値の向上を狙い、2026年には複合施設も開業予定だ。
都市魅力向上の挑戦

名古屋が水辺再生に取り組む背景には、地域固有の難しさがある。堀川や中川運河は長らく産業利用を担ってきたため、市民の憩いや観光の場として十分に活用されなかった。湾岸部の開発も、レゴランド誘致など大規模事業はあったが、その後の開発は停滞や中止が目立つ。
さらに、自動車産業を中心とした製造業の集積により経済は安定し、
「都市の魅力を外に売り込む必要は薄い」
と見られてきた。そのため、都市ブランドの強化は後回しにされる傾向があった。
しかし、魅力向上は観光だけでなく、将来のスタートアップやクリエイティブ産業の拠点形成にもつながる。若い世代の活動の場を広げ、市民に新たなライフスタイルを提供する基盤となる可能性もある。
「名古屋はすでに便利で住みやすいのに、なぜ魅力度向上なのか?」
その答えは観光客のためではなく、市民自身のためにある。水辺再生は、便利さに加えて楽しさや誇りを育て、未来の名古屋をより豊かにする一歩となるだろう。