観光客「一度行けば十分」 そんな名古屋が“水上交通”に執念を燃やすワケーー「道路王国」なのになぜなのか
名古屋市は年間数万石の物流を支えた堀川・中川運河を再生し、水上交通や親水空間を復活させる。都市ブランド向上と観光・生活価値の向上を狙い、2026年には複合施設も開業予定だ。
運河活用と都市刷新

名古屋市が水辺再生に本格的に取り組む契機は、2000年代以降に高まった市民の環境改善要求である。
堀川では長年、水質悪化が課題となり、浄化や親水空間の整備を求める運動が展開された。中川運河も産業利用が低下し、空間が十分に活かされず、新たな役割が必要と認識された。こうした背景から、2012(平成24)年に「堀川まちづくり構想」と「中川運河再生計画」が策定され、水辺再生は都市戦略のひとつに位置づけられた。
堀川まちづくり構想では、水質改善を軸に川沿いのプロムナードや緑地を整備する。歴史的な橋梁や建物のライトアップも行い、「憩いと景観の川」への転換を進めている。
一方、中川運河再生計画では、倉庫群のリノベーションや都市型公園の整備に加え、防災機能を備えた多機能空間への転換を推進する。ささしまライブ24の再開発と連動させ、都心から運河エリアへの人の流れを生み出す狙いもある。
この動きを象徴するのが、2026年開業予定の複合施設「NAKAGAWA CANAL DOORS」である。ホテルや飲食店、広場を備え、水辺を
「目的地」
として再生する拠点となる。歴史や文化の発信に加え、イベントや回遊を支える場としても期待される。こうした公共整備と民間投資が呼び水となり、カフェや小規模ホテル、アートイベントなど、都市型観光やライフスタイルの新たな芽が広がりつつある。