中国自動車産業「再編の波」 NEV比率50%目前、乱立市場が沈む「消耗戦」の行方
東南アジア市場の浸透

中国勢の自動車輸出が増加している。特に東南アジアでの販売拡大が顕著だ。例えばバンコクを訪れると、BYDや長城汽車、上海汽車集団などの中国製低価格車が街中にあふれている。コンパクトカーからSUV、クロスオーバーまで、多様な中国車が日常風景となっている。発展途上国の購買層は、安価で一定の品質を保つ中国製自家用車やトラックを歓迎している。
タイでは、電気自動車普及拡大に向けEV3.5政策が進む。2024年から2027年までの4年間、タイ政府はEV産業の成長を促進する支援措置を導入している。EVメーカーは1台につき最大15万バーツの補助金を受け取れる。ただし条件もある。2026年までに国内でEV生産を開始する場合は、輸入したEV完成車の2倍以上を国内生産する義務がある。2027年に生産を始める場合は3倍以上の国内生産が求められる。
こうした補助金依存型のビジネスモデルを中国が今後も維持できるかは不透明だ。低価格・低品質路線のまま国際市場で通用するかは未知数である。
「中古車輸出(ゼロキロ中古車)による国際市場秩序への影響」
など、懸念材料は多い。海外市場との関係において、中国メーカーは曲がり角に立たされている。
一方、中国自動車メーカーには既存技術の流用や援用による開発スピードの速さという特徴がある。国家的研究機関である中国科学院の技術が民間に迅速に降りてくる点も大きい。日本の産業技術総合研究所と比べると、民間企業への技術移転が格段に早い。電気系車両では、小規模なトラブルならDX化によるソフトウェア更新で対応可能な事例も増えている。
日本メーカーが得意とする分野でもある。ソフト化や自動運転対応を視野に、部品メーカーの統合・協業が国際的に進む可能性もある。中国メーカーのスピード感は維持される見込みだ。ハイブリッド車(HV)や成長著しいBEV分野で日本の個性と能力を発揮するには、DXを軸にした競争戦略が不可欠となる。