なぜ「マイナ救急」は進まないのか? 出動件数急増でも保険証利用率28%、実施は2割にとどまる現実

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救急隊員の負担増が深刻化する中、全国720消防本部で2025年10月から本格導入されるマイナ救急。1万件超の医療情報閲覧で応急処置や搬送先選定の迅速化が期待されるが、携帯率28.7%と課題も残る。

救急隊の負担増加

救急車(画像:写真AC)
救急車(画像:写真AC)

 救急隊は現場で常に限られた時間内に迅速かつ正確な対応を求められる。搬送される患者の氏名や生年月日、かかりつけ病院、服薬歴などの情報を聞き取り、適切な処置を進める必要がある。

 しかし、息苦しさや痛みで会話が困難な患者や、パニックに陥った同伴者から正確な情報を得るのは容易ではない。さらに救急隊員は

・現場対応
・搬送中のケア
・搬送先病院への引き継ぎ

など多くの役割を担い、作業負担は非常に大きい。

 実際、2023年1月には過労が原因で救急車の居眠り事故が発生した。今後、高齢化の進展により救急車の出動件数は増加が見込まれ、同様の事故リスクは高まる。

 こうした状況を受け、国は救急隊員の負担軽減に向けた施策の強化に取り組んでいる。

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