3か月で3件! 都営バス「バス置き去り」はなぜ起きた? 直面するドライバー疲労・人手不足の深刻なジレンマとは

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2025年度、都営バスで3か月連続の乗客置き去り事案が発生。小児も含む事例が明らかにしたのは、ドライバーの意識だけに頼る安全管理の限界だ。AIやIoTを活用した低コストシステムによる自動把握が、心理的負担軽減と事故防止のカギとなる。

バス置き去り問題の構造

都営バス(画像:写真AC)
都営バス(画像:写真AC)

 音声通知によるドライバーへの注意喚起は、「意識づけ」の一環に過ぎない。後方のボタン操作で音声通知を解除できる以上、ドライバーの自発的な確認行動が100%保証されるわけではない。

 先の生理現象は、ドライバー業務でしばしば起こりうる場面である。しかし、ボタン操作に依存する構造は、操作を形式的に済ませる

「形骸化リスク」

を内包する。点検義務を遵守させるシステムとしての弱さや、悪意や過失を完全に防げない構造的課題も抱えている。現行システムは性善説に基づいた、日本的な仕組みといえる。しかし置き去りは、体調不良や場合によっては生死に直結する。

「ドライバーが車内点検を否応なく行わざるを得ない状況」

を作ることが重要であり、性悪説に立ったシステムデザインが求められる。

 ここで、バスドライバーの労働現場の実態を振り返る。バス事業は2024年問題による人手不足が深刻だ。モータリゼーションや新型コロナ禍による乗客減で便数が減り、一便あたりの利用者数が増加している。結果として、ドライバーは余計に神経を使わざるを得ない状況が生まれている。

 長時間勤務による疲労は集中力低下や意識散漫を招き、置き去り事故に繋がるヒューマンファクター(人間の行動・心理・認知・判断・疲労などが結果や安全に与える影響)となる。筆者(西山敏樹、都市工学者)が複数のバス事業者と意見交換するなかでも、

・ダイヤに余裕がない場合
・車両の別ダイヤへの引き渡しまで時間がない場合

終点や車庫での車内点検を事実上カットせざるを得ない状況がある。内規やマニュアルだけでは、現場の厳しい状況下で行動変容を促すことは難しい。

 乗客置き去り問題は、運行システムの欠陥だけでなく、ヒューマンファクター管理の課題に根ざす可能性が高い。バス事業者には、ドライバーに心理的負担をかけずに安全を確保する方法論の議論が求められる。

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