なぜ地域交通ICカードの「10%上乗せ」は消えるのか? 鹿児島「ラピカ」廃止で露呈した地方交通の構造破綻
「1万円チャージで1万1000円分」──地方交通を支えたICカードの“10%上乗せ”が今、制度破綻の危機にある。鹿児島では年間6000万円超の事業者負担が限界に達し、ついに廃止決定。全国で揺らぐ“回数券の遺産”の行方に注目が集まる。
地域ICカードの制度破綻

SuicaやPASMOなどの全国交通系ICカードは、システム維持にかかるコストの高さから、地方の交通事業者に敬遠されるようになった。この課題をどう解消するか。いま、全国交通系ICカードは分岐点に立たされている。
ただし、状況は地域交通系ICカードも同じだ。地域の交通事業者が主導して開発・普及を進めてきた「○○カード」は、多くが磁気式回数券から発展したものだ。そのため、磁気式時代のサービスを現在も維持する必要がある。
ところが最近、一部のサービス維持が困難になり、制度破綻の兆しが見え始めている。
「10%上乗せ」
は、その象徴的な例だ。