Tommy february6『EVERYDAY AT THE BUS STOP』はなぜ今刺さるのか──別曲はTikTok16億再生、あの時の「バス停」とは何だったのか

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2001年にリリースされたTommy february6の名曲。激動の時代に描かれた「バス停」という移動空間が、現代の高速化社会で失われつつある「待つ時間」の豊かさや偶然の出会いを象徴。技術進化が進む中で普遍の感情価値を問い直す、未来のモビリティと心の交差点を描いた一曲の深層に迫る。

TikTok発の再評価現象

Tommy february6のデビューシングル「EVERYDAY AT THE BUS STOP」(画像:ソニー・ミュージックエンタテインメント)
Tommy february6のデビューシングル「EVERYDAY AT THE BUS STOP」(画像:ソニー・ミュージックエンタテインメント)

 2001(平成13)年7月、Tommy february6のデビューシングル「EVERYDAY AT THE BUS STOP」がDefSTAR RECORDSからリリースされた。CDとDVDのセットという当時としては画期的な形態で登場し、TBS系『COUNT DOWN TV』のオープニングテーマにも採用された。ポップでキュートなサウンド、そして川瀬智子が演じる「Tommy february6」というキャラクターが多くの人の心をつかんだ。

 あれから20年以上が過ぎた現在、Tommy february6は再び世界的な注目を集めている。その直接的なきっかけは、アニメ『Paradise Kiss』の主題歌だった「Lonely in Gorgeous」(2005年発表)がTikTokで16億再生を超えるバイラルヒットとなったことだ。この波及効果で、Tommy february6の音楽全体にも再評価の機運が広がっている。

 米国のラッパー・ドージャ・キャットやTWICEのナヨンといった世界的アーティストも影響を公言するなど、その魅力は色あせるどころか、むしろ現代において新たな輝きを放っている。そこには懐かしさやY2Kブームを超えた力がある。

 本稿では、「EVERYDAY AT THE BUS STOP」に描かれる普遍的な「移動」の情景と、その中で揺れる心の動きを掘り下げる。象徴的な舞台となる「バス停」が、なぜ時代を超えて共感を呼ぶのかを考察する。

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