率直に問う 「旧車」の魅力とは何か? 不便さを超えた所有価値を考える

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旧車ファンの“至福の瞬間”を探るカレント自動車の調査では、56人のオーナーが旧車の魅力を多角的に語った。洗車やドライブ、故障修復の喜びが所有体験の中核であることが浮き彫りになった一方、日常的な不具合や制度の硬直性が旧車文化の存続に課題を投げかけている。経済的・制度的な支援策の必要性が急務であり、旧車を単なる趣味にとどめず、文化・技術・産業の社会資産として再評価する視点が求められている。

至福の瞬間が語る市場の課題

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

「旧車に乗っていて“最高の瞬間だな!”と感じるのは、どんな時か」――。

 旧車専門の買取サービス「旧車王」を展開するカレント自動車(神奈川県横浜市)が、旧車ファンを対象に調査を行った。回答者たちは、旧車にまつわる「至福の瞬間」を率直に語っている。

 本稿では、この調査結果を出発点とする。旧車オーナーの心理と行動を分析しながら、現代のクルマ社会が抱える構造的な問題を読み解く。あわせて、制度設計や市場構造において、どのような見直しが求められているのかを考察する。

愛着投資が動かす旧車市場

旧車に興味のある男女56人を対象に行った調査(画像:カレント自動車)
旧車に興味のある男女56人を対象に行った調査(画像:カレント自動車)

 調査はカレント自動車が自社で実施した。対象は旧車に関心を持つ男女56人。調査期間は2025年7月24日から29日。手法はインターネットによるアンケート形式とした。旧車の定義は「2014年以前」に製造された車両。調査結果によれば、

「愛車を洗車・磨きながら眺めている時」

に最も強い満足を感じると回答した人が全体の35.7%を占めた。次いで

・憧れの峠や道をドライブしている時
・故障から復活した時

が、それぞれ17.9%で並んだ。

 この結果は、旧車がただの移動手段ではなく、手をかけることで満足度が高まる「行為対象」として機能していることを示している。洗車や整備といった手間に対して、感情的なリターンが得られる構造がある。いい換えれば、自動車が商品から「体験」へと転換している。

 ただし、これは裏を返せば、旧車では「何もしなくても快適に移動できる」という体験は得にくいことも意味する。現代の量産車がもたらすシームレスな移動とは異なり、旧車には日常的な不便やトラブルがつきまとう。それでも所有し、整備し、手をかけ続ける理由とは何か。その背景には、モノと人との関係性が変化する中での、所有の意味の再定義が見え隠れしている。

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