三菱自動車、なぜ中国から完全撤退するのか?「EV比率5割」の中国市場が日本メーカーに突きつけた“エンジン終焉”の現実

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中国市場からの完全撤退を決めた三菱自動車。四半期純利益は前年同期比97%減の7億円に沈み、北米も赤字転落した。だが、これは敗北ではない。EV化で主導権を握る中国に背を向け、成長市場・ASEANに経営資源を再配置する選択だ。脱エンジン、脱過去の構造転換が、次の成長を描けるかの試金石となる。

中国撤退が示す戦略転換

三菱自動車のロゴ。2020年1月22日撮影(画像:EPA=時事)
三菱自動車のロゴ。2020年1月22日撮影(画像:EPA=時事)

 三菱自動車は2025年4~6月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比3%減の6090億円、純利益は同97%減の7億3800万円にとどまった。大幅な減益は円高や米国の対中関税(トランプ関税)が主因で、北米事業の営業損益は30億円の赤字に転落した。東南アジアでの販売も前年比8%減と伸び悩んだ。

 こうしたなか、同社は7月22日、中国の合弁会社・瀋陽航天三菱汽車発動機製造有限公司(SAME)でのエンジン事業を終了し、合弁関係を解消したと発表。2023年にはすでに現地での完成車生産から撤退しており、今回の決定で三菱自は中国市場からの完全撤退となる。

 背景にあるのは、中国市場の急速な電動化と、それに対応できなかった日本勢の構造的な弱さだ。事業撤退ではなく、日本のモビリティ産業全体の課題を映す象徴的な転換点ともいえる。

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