「エンジン音 = 時代遅れ」は間違い? ステランティスが6000時間かけた「音作り」の最前線

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EV時代にあっても、6000時間かけて設計された擬似排気音や調査で浮かび上がった“音を愛する若者たち”。エンジン音は今やノイズではなく、自己表現とブランド体験の鍵となる「感性のインフラ」へと進化している。

エンジン音が生む新たな価値

エンジン音は「魅力的」か、それとも「騒音」か(画像:写真AC)
エンジン音は「魅力的」か、それとも「騒音」か(画像:写真AC)

 エンジンが燃焼する瞬間に発する振動と排気音は、機械が生む原始的なリズムといえる。ドライバーはそのリズムを耳と体で感じ取り、自分の意志で車を操っているという実感を得る。2021年にナイルが実施した調査(東京都を除く全国の新成人1263人を対象)では、「理想の車の条件」に「その他」と回答した17.1%の中に、「パワーがある。エンジン音がいい」といった意見が含まれていた。走行性能や燃費といった機能性とは異なる観点でエンジン音を重視する若者が一定数いることがわかる。

 一方、SNSではエンジン音に対して「騒音」とする否定的な声も多く、若年層全体がそれを好んでいるとはいいがたい。ただ、複数の選択肢のなかからあえて「エンジン音がいい」と回答する層が存在する事実は注目に値する。

 エンジン音はノイズではなく、車の個性や存在感を伝える要素として、一部の若者に受け入れられている。背景には、

「デジタル環境の変化」

がある。例えば、家庭用ゲーム機や動画配信サービスで、リアルなエンジンサウンドを体験できるようになったことだ。代表的なタイトルとしては

・グランツーリスモ7
・Forza Horizon 5

がある。どちらも実車のエンジン音を精密に再現しており、現実に近い感覚を提供している。

 さらに、SNSの存在も無視できない。マフラーを改造した車の加速音や発進音などの動画が、X(旧ツイッター)やTikTokで頻繁に共有されている。いいねやコメントなどのリアクション機能によって、音に対する他人の反応が可視化されやすくなった。こうしたプラットフォームでは、エンジン音そのものが「語れるコンテンツ」となっており、自分らしさや気分転換の手段として注目されている。

 このように、エンジン音はもはや速度や価格の象徴ではない。特定の若者にとっては、日常の中で気分を高めたり、自分の価値観を示したりする手段となっている。

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