三菱自動車、なぜ中国から完全撤退するのか?「EV比率5割」の中国市場が日本メーカーに突きつけた“エンジン終焉”の現実

キーワード :
,
中国市場からの完全撤退を決めた三菱自動車。四半期純利益は前年同期比97%減の7億円に沈み、北米も赤字転落した。だが、これは敗北ではない。EV化で主導権を握る中国に背を向け、成長市場・ASEANに経営資源を再配置する選択だ。脱エンジン、脱過去の構造転換が、次の成長を描けるかの試金石となる。

黒子戦略の終焉と教訓

 三菱自動車は2023年、中国での完成車生産から撤退した後も、SAMEを通じて中国地場メーカー向けにエンジン供給を続けていた。完成車ではなくエンジンの供給に徹し、黒子として機能するビジネスモデルには一定の合理性があった。他の日本メーカーには見られない柔軟な構造といえた。

 しかし、EVシフトの加速で状況は一変した。エンジン需要は急速に縮小し、SAMEの存在意義も薄れた。結果として、合弁関係は解消された。SAMEからエンジン供給を受けていた中国メーカー各社は、EV技術の内製化を急速に進めている。SAMEはエンジン供給パートナーとしての役割を終えた。象徴的な「エンジンの終わり」として、中国におけるEV転換の現実を突きつける出来事だった。

 三菱自の中国市場からの完全撤退は、個社の失敗では済まされない。その背景には、日本メーカーに共通する構造的課題がある。国内制度への過度な最適化、グローバルな意思決定の鈍さ、多国籍での協業体制の脆弱さ――いずれも今回の撤退劇に色濃く反映された。

 一方で中国政府は、EV振興政策、購入補助金、充電インフラ整備などを組み合わせ、国家主導でEVシフトを推し進めてきた。これに対し、日本メーカーのEV戦略はグローバルでの一貫性を欠き、局地戦に終始する傾向が強い。

 電池の内製化、アーキテクチャ開発、ソフトウェア統合といったEVの基幹領域において、日本メーカーは中国や米国の新興勢に大きく水をあけられている。三菱自の撤退は、その差がもはや修正困難なレベルに達していることを物語っている。

全てのコメントを見る