EVだけじゃ脱炭素は不可能!「見えざるCO2排出」に集まる注目――素材転換が急務な根本理由とは

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EV化だけでは不十分――自動車1台のCO2排出の約5割は製造段階に集中する。欧州勢は再生素材やバイオ樹脂を「戦略資源」と位置づけ、脱炭素とブランド哲学を融合。素材の選択が競争力を左右する新時代が始まっている。

歴史に根ざす持続性価値観

次世代モデルBMWノイエクラッセXコンセプト(画像:BMW)
次世代モデルBMWノイエクラッセXコンセプト(画像:BMW)

 欧州のサステナブルへの姿勢は際立っている。単なる技術や規制の問題ではなく、

「社会はどうあるべきか」

という哲学的かつ倫理的な問いが根底にある。

 サステナブルという概念は、1987年の国連報告書『我らの共有の未来(ブルントラント報告)』で初めて言語化された。

・資源の限界
・環境問題が深刻化した1970年代以降の危機感
・冷戦終結後の国際協調

の流れが背景にある。この理念を政策や経済活動に先駆けて実装したのが欧州である。

 フランスではフランス革命以来、平等や公共性、未来世代への責任が価値観として根付いていた。ドイツでは、戦争の痛みを経験した歴史から

・責任ある技術
・社会との調和
・持続性

が強く意識されてきた。これらの歴史的背景が、欧州のサステナブル思想に影響を与えていると考えられる。欧州のサステナブルは、外部から強制されるものではなく、自律的に選び取る態度である。この思想は

「ルールを作る側になる」

という戦略とも結びついている。欧州連合(EU)はパリ協定に早期にコミットし、カーボン・ボーダー調整措置(CBAM)やESG投資の枠組みなど、国際的な基準作りをけん引してきた。これは環境保護に留まらず、高付加価値製品の価格競争力を高める経済戦略でもある。

 さらに、石油などの外部資源依存から脱却し、エネルギーも経済も自律的に回す構造を目指す意思も強い。再生可能エネルギーや再生素材、地域循環型の投資が続く背景にはこの狙いがある。

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