EVだけじゃ脱炭素は不可能!「見えざるCO2排出」に集まる注目――素材転換が急務な根本理由とは

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EV化だけでは不十分――自動車1台のCO2排出の約5割は製造段階に集中する。欧州勢は再生素材やバイオ樹脂を「戦略資源」と位置づけ、脱炭素とブランド哲学を融合。素材の選択が競争力を左右する新時代が始まっている。

次世代EVの素材革命戦略

自動車のライフサイクルにおけるCO2排出量(画像:日本自動車工業会)
自動車のライフサイクルにおけるCO2排出量(画像:日本自動車工業会)

 脱ガソリン車の次に求められるのは、「脱石油素材」である。EV化により走行時のCO2排出は削減可能だが、自動車のライフサイクル全体のCO2排出の約半分は製造段階で発生しているとの試算もある。この主因はバッテリーの原料調達や製造にあるが、車体の軽量化を目的とした樹脂の多用も大きな要因だ。つまり、走行時のCO2をゼロに近づけるほど、製造段階での削減が不可欠というジレンマを抱えている。

 こうした課題を背景に、欧州の自動車メーカーは素材革命に踏み込みつつある。まず、単なる軽量化から脱し、「製造時のエネルギー投入量削減」へと視点を移している。植物由来素材は、加熱などの工程で排出されるCO2を大幅に抑えられる可能性がある。また、リサイクル性の高い素材を使うことで車両寿命後の解体や分別作業の効率化を図り、コスト削減や循環型社会の実現を目指している。さらに、欧州では製品ごとのCO2フットプリントの見える化が進み、素材選定段階から脱炭素がビジネス戦略に直結する環境が整いつつある。

 こうした動きは軽量化競争にとどまらず、製造から使用、廃棄に至るまでの過程全体で脱炭素化を追求する包括的な設計思想に基づくものである。具体例として、BMWは2025年に生産開始予定の次世代車両共通コンセプト「ノイエ・クラッセX」で、ステアリングにバイオレザー、内外装に再生プラスチックを採用している。BMWは新車における再生材使用率を現在の30%から50%に引き上げる計画も掲げている。

 ボルボグループ傘下のポールスターは、亜麻繊維の複合素材や再生PETファブリック内装を採用し、プラスチック重量を80%削減。サプライチェーン全体で原料のトレーサビリティ強化も進めている。メルセデスベンツのコンセプトカー「VISION EQXX」では、キノコ由来の菌糸体レザーやサボテン素材、海洋プラスチックの再利用など多様な素材を活用し、脱炭素への強いメッセージを発信している。フォルクスワーゲンやアウディは、コーヒー焙煎の副産物を利用したイミテーションレザーなど、持続可能な素材の探求を続けている。

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