全固体電池で挑む日本の逆襲――なぜリチウムイオン電池大国・日本は「中国依存8割」の現実に陥ったのか?
中国が8割のシェアを握る車載電池市場で、日本勢が巻き返しを狙う。全固体電池の特許出願で世界をリードするトヨタと出光は、2027年の実用化を見据え量産体制を本格化。パナソニックも米IRA追い風に6000億円を投資。巨大市場の覇権争いが新たな局面を迎えている。
全固体電池、反転攻勢

こうした状況のなかで、「全固体電池」に日本の反転攻勢への期待が集まっている。トヨタは2027~2028年の実用化を視野に、全固体電池を搭載した電気自動車(EV)の開発を進めている。単独ではなく、材料から製品までを一貫して手がけるため、出光興産と共同で取り組んでいる。
技術面での優位性も際立っている。全固体電池に関する特許出願数では、トヨタと出光がともに世界のトップランナーだ。トヨタは電池の設計から製造までを担当し、出光は硫化物系固体電解質の研究開発で独自の特許網を構築してきた。
出光はすでに2001(平成23)年から研究を始め、20年以上にわたる実績を積み重ねている。全固体電池の性能は群を抜いている。急速充電はわずか10分以下。目標とする航続距離は約1200kmで、これは現行EV「bZ4X」の約2.4倍に相当する。
政府も支援に本腰を入れている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金は、総額2兆7564億円に拡充された。出光も量産体制の構築を着実に進めている。
千葉事業所では、硫化リチウムの大型製造装置を建設中で、年産1000トンの生産能力を計画している。これはEV換算で5万~6万台分に相当する。総事業費は213億円で、そのうち最大71億円は助成金でまかなわれる見通しだ。
この戦略のカギを握るのが
「垂直統合」
である。出光は石油精製の副産物である硫黄成分を活用し、原料から固体電解質までを一貫生産する。トヨタは電池の組み立てから車両への搭載までを担う。部材を中国に依存せず、日本の技術で世界市場への再挑戦を図る構えだ。