関税25%が迫る! 日本車メーカーが迫られる岐路──「米国集中」か「多極化」か? 直面する構造的ジレンマを考える

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日米の関税対立が激化し、日本の自動車メーカーは最大25%の追加関税リスクに直面している。米国市場の短期的収益確保と新興市場の長期成長ポテンシャルのはざまで、トヨタやスズキは異なる戦略を展開。技術革新や地政学リスクを背景に、経営資源の最適配分と柔軟な戦略が持続的成長のカギとなる。

25%関税が突きつける岐路

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 日米間の関税交渉が最終局面に入った。トランプ政権は、2025年7月7日、日本に対する相互課税措置を正式に通告。8月1日から、日本からの輸入品すべてに一律25%の関税を課す方針を示した。関税発動が目前に迫るなか、日本政府の交渉の行方に注目が集まっている。

 完成車を米国に輸出する日本メーカーにとって、追加関税25%は深刻な打撃となる。価格へ転嫁すれば販売が鈍る恐れがある。一方で、自社で負担すれば収益を直撃する。各社は厳しいジレンマに直面している。

 本稿では、米政権の関税方針や現地生産促進の圧力を背景に、日本の自動車メーカーが直面する「米国集中」か「多極化」かの選択を検証。今後の競争力維持のための戦略を探る。

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