熊本は「福岡」を超えられるか? 空港・駅・人口で見る“圧倒的格差”の正体――テクノポリスは“九州のシリコンバレー”になれるか
関西以西で「独り勝ち」とされる福岡市と、TSMC効果で活気づく熊本市。両市の空港、中心駅、大規模バスターミナルを比較し、その実力差と熊本市の対抗策を探る。
福岡依存を逆手に取る拠点機能

一方、熊本が数字上で福岡に対抗できるのは、大規模なバスターミナルの存在だ。福岡市には
・博多駅直結「博多バスターミナル」
・西鉄福岡駅直結「天神高速バスターミナル」
のふたつがある。博多バスターミナルは一般路線バスと高速路線バス合わせて26バースを持ち、1日約2300台のバスが発着、約7万人が利用している(同施設の公式ウェブサイトより)。天神高速バスターミナルは高速バス専用で7バースを備え、ネット上の情報では1日約1400台のバスが発着し、利用者数は約2万人とされている。
これに対して、熊本市の大規模バスターミナルは中心市街地の核施設である桜町バスターミナルだ。1969(昭和44)年に熊本県庁跡地を活用し、商業施設やホテルを併設した複合施設「熊本交通センター」として開業した。36バースという規模から当時は
「東洋最大のバスターミナル」
と称された。再開発により2015(平成27)年に一時閉鎖されたが、2019年11月に現在の桜町バスターミナルとして再開業した。再開業後は29バースにやや縮小したが、1日の発着回数は一般路線・高速路線バス合わせて約5800回、乗降者数は約3万8000人(想定)と、日本一の規模を誇る。
熊本駅が中心市街地からやや離れているのに対し、桜町バスターミナルはまさに熊本の「都心」である。福岡市まで約100kmと微妙に遠く近い距離に加え、両市の都心を直接結ぶ高速路線バスが早期に発達したのは必然といえる。
やや踏み込んだ表現をすれば、ライバル都市である福岡市の発展は、大規模バスターミナルを通じて熊本市の中心市街地にも恩恵をもたらしているといってよい。