熊本は「福岡」を超えられるか? 空港・駅・人口で見る“圧倒的格差”の正体――テクノポリスは“九州のシリコンバレー”になれるか

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関西以西で「独り勝ち」とされる福岡市と、TSMC効果で活気づく熊本市。両市の空港、中心駅、大規模バスターミナルを比較し、その実力差と熊本市の対抗策を探る。

熊本駅の停滞と課題

九州新幹線の開業と前後し、再開発が進んだ熊本駅前。景観は一変するも、賑わいは今ひとつ(写真:菅原康晴)
九州新幹線の開業と前後し、再開発が進んだ熊本駅前。景観は一変するも、賑わいは今ひとつ(写真:菅原康晴)

 では、両市の中心駅を比較してみよう。

 JR九州が発表した2023年度の駅別1日乗車人員上位300駅によると、博多駅の乗車人員は11万9562人に達する。対して熊本駅は1万6292人で、博多駅の

「約7分の1」

にとどまる。さらに鹿児島中央駅の1万9437人、大分駅の1万6949人を下回っている。博多駅との大きな差はさておき、なぜ鹿児島中央駅や大分駅よりも少ないのかが問題となる。考えられる要因としては、

・熊本駅の市内での位置づけ
・福岡市との距離

が挙げられる。熊本駅は市の中心駅であるものの、中心市街地からやや離れている。地方都市として人口規模は比較的大きいが、長らく発展から取り残されてきた。駅周辺では2011年の九州新幹線全線開業を契機に大規模な開発が進んだが、福岡の博多駅や天神のような“二眼レフ構造”にはまだ至っていない。

 一方、駅から離れた中心市街地は大規模バスターミナルを中心に強い求心力を持つ。そこから福岡方面へ向かう高速路線バスが高頻度で運行されており、熊本駅の福岡への移動需要の一部はバスターミナルに流れていると見られる。

 今後、熊本駅周辺で持続的な開発が進み、中心市街地に匹敵する求心力を得られれば、福岡と同様に“二眼レフ構造”へと進化する可能性はある。また、計画中の空港アクセス鉄道やTSMC最寄り駅の設置が進めば、乗車人員の劇的な増加は難しくとも、熊本駅の地位向上は期待できるだろう。

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