熊本は「福岡」を超えられるか? 空港・駅・人口で見る“圧倒的格差”の正体――テクノポリスは“九州のシリコンバレー”になれるか

キーワード :
, , ,
関西以西で「独り勝ち」とされる福岡市と、TSMC効果で活気づく熊本市。両市の空港、中心駅、大規模バスターミナルを比較し、その実力差と熊本市の対抗策を探る。

熊本空港と福岡の利便格差

熊本市、そしてテクノポリスの玄関口となっている熊本空港(画像:菅原康晴)
熊本市、そしてテクノポリスの玄関口となっている熊本空港(画像:菅原康晴)

 まず空港の状況を確認する。福岡空港の運営会社が2025年5月に発表したデータによると、2024年度の旅客数は国内線が1861万人、国際線が850万人、合計2712万人だった。開港以来の最多記録である。

 一方、国土交通省の集計では熊本空港の2024年度旅客数は国内線321万人、国際線48万人、合計369万人だった。現在地に移転した1971(昭和46)年以降で過去最多だが、福岡空港の

「約5分の1」

にとどまっている。

 福岡空港は博多駅から地下鉄で2駅、5分の距離にある。対して熊本空港は熊本市中心部の桜町バスターミナルからバスで約50分かかる。福岡市と熊本市はまちの求心力に大きな差があるだけでなく、空港の地理的利便性にも大きな開きがある。

 両市の距離は約100km。新幹線で熊本~博多間は最速30分台だ。高速バスは桜町バスターミナルから福岡空港まで約2時間で直通している。熊本~福岡間の高速バス路線は高頻度運行され、一部が空港へ乗り入れているが、それでも本数は豊富だ。

 東京や大阪方面へは熊本空港利用もあるが、その他の路線は選択肢が豊富でアクセスのよい福岡空港を利用する傾向が強い。ただし熊本空港は中心市街地から距離があるものの、テクノポリス地区には近い。産業面での結びつきでは必ずしも不利ではない。

 現在、熊本県はJR豊肥本線の肥後大津駅と熊本空港を結ぶ約6.8kmの空港アクセス鉄道を計画している。2025年6月には空港駅を空港敷地外に設置する案を公表したが、建設費との兼ね合いで議論を呼んでいる。

全てのコメントを見る