「業界の恥さらし」 日本郵便の「トラック→軽バン代替」が配送崩壊を招く根本理由! 物流ジャーナリストが警告する
配送混乱が招く値上げ圧力

この状況が進めば、
・配達の遅延
・翌日配送可能地域の減少
といった悪影響が、軽バンを使った配達業界全体に広がる可能性がある。
とはいえ、筆者はバン・トラックによる輸送を軽バンで代替することによる悪影響は、それほど大きく出ないのではないかと考えている。その理由は、
「日本郵便から顧客が離れていく可能性」
が高いからだ。理屈をいろいろ書いてきたが、物流業界の感覚としてトラックの代わりに軽バンを送り込む」いうのは、常識ではありえない。そのうえ実際に不便が生じれば、
「これ以上、日本郵便には任せられない」
と判断する荷主も増えていくだろう。実際、これまで日本郵便にゆうパックなど小型荷物の配送を依頼してきた荷主や元請の物流事業者のなかには、ヤマト運輸や佐川急便といった他の宅配事業者に切り替える動きが出始めている。
「今のところ、うちにはまだトラックが集荷に来ているから」として様子を見ていた荷主も、いざ軽バンが集荷・配送を担い始めれば、やはり無理だと切り替えを検討するだろう。その結果、日本郵便は事業許可を失った2500台の車両が担っていた月間11万8200便の配送を維持できなくなる。取扱量は減り続けることになるだろう。
日本郵便の主張をそのまま信じるなら、配送件数が42%減って6万8556便まで落ち込めば、軽バンによる代替輸送は不要になる計算だ。
今回の不正点呼問題によって、日本郵便の小型貨物輸送が4割程度減少するというのは、十分あり得る見通しである。そうなれば、本稿の前半で述べたような懸念は杞憂に終わるかもしれない。
だが同時に、日本郵便の経営はより一層厳しくなる。経営が悪化すれば、現在は行わないとしている
「郵便やゆうパックの値上げ」
も、現実的な選択肢となってくるだろう。日本郵便は、宅配で2割、メール便では8割のシェアを持つ、日本有数の物流事業者である。現在、バン・トラックのみならず、軽バンに対する処分も国土交通省や総務省の判断待ちという状況にある。物流業界だけでなく、日本社会全体への影響も避けられない。
ここで取り上げた軽バンでトラック輸送を代替するという話は、氷山の一角にすぎない。日本郵便は小手先の言い訳で国民を煙に巻くのではなく、自社の影響力を正しく把握し、社会に与える影響について誠実に説明すべきである。