「紙の切符」路線に全国ICカード導入は正解なのか? 年間1.5億円の維持費負担と人口減少の壁――群馬私鉄の現実から問う
群馬県の中小私鉄3社は2025年現在も全国交通系ICカード未導入で、乗客利便性と経営効率の課題を抱える。上毛電鉄は国のMaaS推進事業に選定され、低コストIC決済導入を目指すが、年間1億5000万円に及ぶ維持費問題や人口減少下での持続可能性が依然厳しい。ビッグデータ活用と地域連携による合理化が今後のカギとなる。
年間1億超の維持費の壁

しかし、これをあえて前向きに考察しよう。全国交通系ICカードのシステム維持費は依然として大きな負担だ。だが、これが新たにより安価で運用可能なシステム開発の契機になる可能性もある。
木内氏が述べるように、初期投資やランニングコストの低いシステム導入に向けて調査・研究し、沿線で利用しやすい環境を整備する動きが進んでいる。事業者にとっても乗客にとっても、使いやすい仕組みが整備されていくだろう。
全国交通系ICカードの高いランニングコストという課題は多くの関係者に共有されている。その解決に向けた第一歩があれば、より洗練されたシステムの実現は決して遠くない未来である可能性が高い。