JAL・ANAは「LCC」を維持できるのか? 日本流「多ブランド戦略」の落とし穴、海外勢に勝てない根本理由とは

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日本の大手航空傘下のLCCは複数ブランドによる資源分散で競争力が低下。ピーチの84.4%に対しエアージャパンは69.3%と苦戦。JAL系3ブランドも座席利用率は軒並み7割超だが、労使問題や路線競合が影響。海外LCCの急拡大に対抗できず、両社は将来的にLCC統合を迫られる可能性が高い。今後の再編判断が注目される。

労使問題深刻化のジェットスター危機

 一方、JAL系のジェットスター・ジャパン、春秋航空日本、ZIPAIRの状況はどうか。JALの2025年3月期決算資料によると、座席利用率は

・春秋航空日本:79%
・ZIPAIR:84.8%

である。ジェットスター・ジャパンは豪カンタス航空との関係で決算時期が異なるため単純比較はできないが、2024年6月期の座席利用率は86.4%だった。いずれも採算ラインを超えており、エアージャパンのように収益性を心配する必要はない。

 しかし今後を考えると、3ブランドを守り切れるかは不安である。特に懸念されるのがジェットスター・ジャパンだ。同社は近年、

・未払い賃金を巡るストライキ
・労働組合委員長の懲戒問題
・休憩に関する客室乗務員の訴訟

など、労働争議が絶えない状態にある。特に2023年の年末年始帰省ラッシュではストライキが直撃し大きな衝撃を与えた(その後、能登半島地震の影響もあり中止された)。このような労働問題の多発は、コロナ禍後の人員不足解消を難しくし、路線拡大など積極策の足かせになるだろう。

 かつて経営破綻前のJAL本体で複数組合による多くの労働問題があったこととも通じるものがあり、深刻さがうかがえる。実際、ジェットスター・ジャパンの問題を扱う報道のなかにはJAL本体への影響を懸念するものもある。

 本稿の執筆中に、ジェットスターのアジア子会社でシンガポール拠点の「ジェットスター・アジア」が2025年7月31日をもって運航を終了するニュースも入った。これはコスト上昇と競争激化による戦略的撤退である。機材はオーストラリア本体に異動し、同国やニュージーランドに経営資源を集中させる方針だ。日本はまだ直接影響を受けていないが、親会社カンタス航空の動き次第では似た状況になる可能性も否定できず、今後は機材接収のリスクも考慮しなければならない(実際、コロナ禍ではエアバスA320の6機が本社に転籍したこともある)。

 また3ブランド間の路線バッティング問題も残る。3社はそれぞれ重点地域を分けているが、ジェットスター・ジャパンは国内路線、春秋航空日本は中国、ZIPAIRは北米とアジアを担当している。しかし現実には、成田~新千歳線でジェットスター・ジャパンと春秋航空日本が、成田~マニラ線でジェットスター・ジャパンとZIPAIRが就航している。今後3社が規模を拡大すると、どこに就航するかに加え

「どの会社が就航すべきか」

も考える必要がある。とくに台湾やベトナムのように小型機で十分な市場では、その判断が難しくなる。

 筆者が当媒体の別稿で紹介したインドのインディゴや東欧のウィズエアなど海外LCCは、価格競争力に加えて短期間に大量機材で路線を拡大したことも強さの要因である。運航会社の選択まで考えなければならない状況では、海外勢のようにスピード感を持って路線網を拡げるのは難しいだろう。これらを整理すると、

「JAL系はANAよりはブランドの両立に成功しているが、路線競合などの問題もあり今後も維持できるかは不透明」

である。とくに労使問題を抱えるジェットスター・ジャパンの行く末は心配だ。労使問題によるイメージ悪化を抑え、収益性を改善できなければ、豪本社による機材接収などのリスクもあり、日本での営業活動に黄信号が点灯する可能性も否定できない。

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