JAL・ANAは「LCC」を維持できるのか? 日本流「多ブランド戦略」の落とし穴、海外勢に勝てない根本理由とは
日本の大手航空傘下のLCCは複数ブランドによる資源分散で競争力が低下。ピーチの84.4%に対しエアージャパンは69.3%と苦戦。JAL系3ブランドも座席利用率は軒並み7割超だが、労使問題や路線競合が影響。海外LCCの急拡大に対抗できず、両社は将来的にLCC統合を迫られる可能性が高い。今後の再編判断が注目される。
統合に追い込まれる傘下LCC
同一カテゴリで複数ブランドを持つ航空会社は海外にもあったが、失敗例が目立つ。
例えばシンガポール航空は、短距離向けにタイガーエア、中長距離向けにスクートというふたつのLCCブランドを展開していた。機材も分けて運用し、差別化を図ったが、ブランド維持にはコストがかさみ、エアアジアやライオンエアなど強豪が多い東南アジア市場では競争に勝ち残れなかった。このため2016年に、ブランド浸透度の高かったスクートに統合された。なお現在、日本に乗り入れているタイガーエアは、台湾の子会社がブランドを引き継いだものである。
東南アジアではほかにも、タイ国際航空がノックエアとタイスマイルの2ブランドを持っていたが、コロナ禍で経営が悪化。ノックエアは2020年に裁判所へ再建プランを提出し、タイスマイルは2025年に解散した。
現在進行形で苦境にあるのが、合併交渉が進むアシアナ航空だ。アシアナはエアプサンとエアソウルのふたつのLCCを持つ。エアプサンは釜山、エアソウルは仁川と釜山を拠点としているが、チェジュ航空など競合との競争が激しく、どちらも苦戦が続いている。とくにエアソウルは日本や中国などの短距離路線を本体から置き換えたケースが多く、元々競争力に乏しかった。
その結果、2025年には親会社のアシアナが社債の買い戻しや増資を通じて、財務の立て直しを迫られる状況になった。さらにアシアナ自身も大韓航空との合併が決まり、傘下のLCC2社は大韓航空傘下のジンエアーと統合される予定である。
ただし、エアプサンには釜山市や地元企業の出資があるため、仁川拠点の2社との統合には反発も起きており、今後の展開は不透明である。