防衛省が超音速ミサイル「ASM-3」に見捨てた根本理由――カタログ・スペックで優れるのになぜ?
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防衛省が見切りをつけたのは“速さ”だった。マッハ3級の超音速型ASM-3では現代戦の要「突防」問題を突破できない。代わりに導入が進むのは、米国NSMを手本とした高度1m飛行のステルス亜音速ミサイル。迎撃回避性能に優れ、調達コストも据え置きの12式能力向上型が、冷静な合理性で選ばれた。
軽トラ発射も視野圏内
つけ加えれば、亜音速型による問題解決は実現容易でもある。
12式能力向上型のコストは従来型と変わらない。自衛隊が使っていたハープーン等と大差はなく導入負担は大した物とはならない。
おそらく単価は3億前後、炸薬量は150kg程度、本体重量は500kgから600kgのあたりだ。そのため戦闘機や軍艦にもハープーンと同じ数を搭載できる。さらには中小型ヘリコプターや軽トラからの発射も視野に入る。
なお、手本にしたNSMはさらに軽い400kgである。艦載ヘリ発射にも対応しており米海兵隊は小型トラックに2発搭載している。照準も「だいたいの方向」でよい。飛行経路や目標選択、目標艦船のどこの部位を狙うかはミサイル側が搭載データベースを用いて自動判断する。
逆に、超音速はこの点でも難がある。いずれの負担も亜音速型より大きい。特に、重量は800kgを超えるために発射手段が限られる。逆に炸薬量は推測で100kg未満であり爆発威力は小さい。
ちなみに、この比較優位は採用理由にならないことには注意が必要である。「亜音速型は超音速型よりもコスト面で優れている」から防衛省が採用するのではない。なによりも直面している突防問題を解決できるから採用する。その上でコスト面でも実現困難ではないだけの話である。