「昔の自動車CM」はなぜ消費者の心を掴んだのか? 「ケンメリ」から「タント」まで! データで見る消費行動の変遷とは

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高度成長とともに街を駆け抜けた名車たちは、テレビCMを通じて時代の空気を映し出した。視聴率30%超のゴールデンタイムに流れた映像は、年齢も性別も越えて国民に自動車への憧れを刷り込んだ。だが、2020年代のテレビは、企業不祥事と業績不振のニュースばかりだ。かつての熱狂は、どこへ消えたのか――。

急成長期に輝いた自動車CM

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 自動車メーカーはかつて、テレビで多くの人が共感するCMを次々と提供し、社会に大きな影響を与えた。自動車のテレビCMは時代を映す鏡ともいえる。だが今は、業界のネガティブなニュースがテレビを賑わせている。ここでは一般消費者の視点から、話題となった自動車メーカーのテレビCMとその背景にある社会動向を振り返る。

 古くは1958(昭和33)年、冠番組内でコメディアンの大村昆が車名を連呼するダイハツ・ミゼットの生CMがある。通常の形では1962年にトヨペット・コロナのCMが流れた。まだ白黒映像の時代で、砂地を走行してドラム缶に激突する内容だ。当時は車の性能を強調するCMが多かった。トヨタ・カローラのCMはウィリアム・テルをもじり、放たれた矢よりも車が速く走り、りんごに刺さる前に矢を掴むといった荒唐無稽な内容だった。

 1960年代は高度経済成長により世帯収入が増加し、国は自家用車の普及を掲げた。当時の日本を代表する大衆車が次々に登場し、CMも多く放映された。1964年のトヨタ・パブリカのCMでは、車のある家族の風景がコミカルに描かれ、自家用車を持つメリットが謳われている。家族が車でお出かけする光景は、今では当たり前だが、当時はあこがれの家族像だった。3C(カラーテレビ、クーラー、カー)がいわれ、自動車は消費の象徴となった。

 1960年代後半から自動車の保有台数は上昇に転じる。車種も多様化し、スポーツカーも開発された。この頃のCMは、

「おそらく自分では走らないだろう海外の山や海岸線の道を疾走する映像」

が多い。走りのかっこよさをアピールしたものだ。自動車メーカーはさまざまな番組をスポンサードし、ゴールデンタイムに多くのCMを流した。夕食時には家族揃ってテレビを見る時代で、子どもも含め車に乗らない層にもイメージが刷り込まれた。

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