「昔の自動車CM」はなぜ消費者の心を掴んだのか? 「ケンメリ」から「タント」まで! データで見る消費行動の変遷とは

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高度成長とともに街を駆け抜けた名車たちは、テレビCMを通じて時代の空気を映し出した。視聴率30%超のゴールデンタイムに流れた映像は、年齢も性別も越えて国民に自動車への憧れを刷り込んだ。だが、2020年代のテレビは、企業不祥事と業績不振のニュースばかりだ。かつての熱狂は、どこへ消えたのか――。

2000万台時代の広告戦略

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 バブル崩壊後も経済成長は模索された。さまざまな産業が若い女性をターゲットに市場開拓を図り、自動車メーカーも例外ではなかった。1993(平成5)年、ホンダ・トゥデイは牧瀬理穂を起用し「新しいトゥデイなのだ」というCMを放送した。1994年には小沢健二のBGMがヒットしたトヨタ・カローラIIのCMも登場し、若い女性の自由で気ままなライフスタイルをかわいく描いた。

 1990年代は自動車保有台数がまだ伸びており、テレビCMの存在感も強かった。1995年、日産・アベニールのCMでは、後部ハッチバックから女性が靴を脱ぎ、なまめかしい白い足を見せて忍び込む映像が話題となった。耳元で「お・ま・た」と囁くシーンは大ブレイクし、松嶋菜々子の知名度を急上昇させた。彼女はこのCMの後、ドラマや映画に引っ張りだことなる。同CMの続編では、山中を走行中のウィンドウ越しに松嶋が「さるさるさるー」と叫ぶ場面も制作された。

 2000年代に入ると自動車保有台数の増加は鈍化し始めた。長引く景気低迷で若者は生活に手いっぱいとなり、自動車は憧れの品ではなくなった。リーマンショックはその傾向を決定的にした。それでも2007年のダイハツ・タントのCM「祝子育て満開」は子育てファミリーの支持を集めた。しかし、かつてのような影響力を持つテレビCMは姿を消した。国内市場の伸び悩みを受け、メーカーは販売の重点を海外に移していた。

 近年印象的だったのは、2015年から放送された日産の「やっちゃえ日産」だ。初代の矢沢永吉のイメージが「やっちゃえ」にぴったりはまった。近年は企業メッセージCMが増えている。トヨタの「トヨタイムズ」では自動車に限らずさまざまな企業活動を取り上げている。オンライン社会となった今、テレビCMが大きな影響力を持つとは言いにくい。しかしネットCMにおいても、国内メーカーで目立つ存在感のあるCMはあまり見られない。

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