ビッグモーター事件が暴いた“業界の闇” なぜ自動車保険は「不透明」なのか? 損保会社「過去最高益」のカラクリとは

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自動車ユーザーの約8割が任意保険に加入する一方、修理業者と保険代理店が一体化した構造が悪用され、不正請求や過剰整備が横行。2024年度の大手損保3社の純利益は過去最高を更新し、利用者負担は増大する一方だ。金融庁と国土交通省の規制強化策の行方に業界の行く末がかかる。

不満を封じる価格交渉構造

 先ほど、整備事業者が少し多めに修理することが業界の慣例になっていると書いた。こうした背景には、自動車保険で適用される工賃単価が、実態と乖離するほど安く設定されているという事情がある。

 損保会社が整備事業者に支払う工賃は、30年ほど前の整備料金を基に、消費者物価指数(一般の消費者が購入するモノやサービスの価格変動を示す指数)をかけて算出されるといわれている。そのため、損保会社は工賃を引き下げる強い影響力を持っている。整備事業者は経営を成り立たせるために、修理をやや多めに見積もり、取り分を確保しようとするのではないか。修理業者の側からすれば、

「不正請求を前提にしなければ割に合わない」

というのが現状である。こうした事態を受けて、国土交通省は2025年3月、「車体整備事業者による適切な価格交渉を促進するための指針」を出した。事業者が損保会社などに対して、透明性と公平性を前提に労務費などの価格交渉を行えるよう、工賃単価を算出して交渉することを促している。

 しかし、金融庁の調査によると、車体整備事業者の約8割が損保会社に対して苦情を申し出たことがないと回答している。その理由として、

「苦情を申し出たところで変わらない」
「時間の無駄である」
「損保会社の交渉姿勢が一方的である」

といった意見が多かったという。このように、

・大手なら商品内容に差がないのにその説明を代理店に丸投げする
・工賃単価を過度に抑制し保険支払額を減らそうとしてくる

といった実態がある。それにもかかわらず、損保会社側には事実上おとがめなしという構図が続いている。国土交通省も工賃単価をちゃんと算出して交渉しましょうというだけで、損保会社への指導には及び腰だ。

 その一方で、大手損保3グループが発表した2025年3月期の連結決算では、各社とも純利益が2年連続で過去最高を更新した。損保会社だけが、“ひとり勝ち”のような状況になっている。

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