米国製「日本車」が里帰り? 現地生産330万台が突きつける日米の歪み! 関税25%の攻防を考える

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25%関税の撤廃をにらみ、日本車の“逆輸入”が通商交渉の切り札に浮上した。米国で年間330万台を生産する日本メーカーにとっては合理的選択肢であり、雇用維持を掲げるトランプ政権にも利点は大きい。左ハンドル販売や保安基準の壁を越え、戦略転換の現実味が増している。

日米関税交渉で浮上

ホンダ・パスポート(画像:北米ホンダ)
ホンダ・パスポート(画像:北米ホンダ)

 石破首相は、2025年5月21日の党首討論で、日本メーカーが米国で生産した自動車を日本に「逆輸入」する案に言及した。対日貿易赤字の縮小に向けた選択肢のひとつとして「あり得る」との見解を示した。この案は、米国が難色を示す対日自動車関税の撤廃を引き出すための交渉カードでもある。25%の追加関税解除を念頭に置いた動きといえる。

 赤沢亮正・経済再生担当相は、5月24日に行われた日米閣僚級の第3回関税交渉に出席し、翌25日に帰国した。6月中旬に予定される日米首脳会談での合意を見据え、協議を継続する構えだ。5月29日から6月1日までの日程で再訪米する方針を固めている。

 日本車の逆輸入案は、一見すると奇策に見える。ただ、日米双方の利害が交錯するなかで、現実的なオプションになり得る。日本側にとっては、関税を回避しつつ米国現地での生産体制を維持できる点が大きい。

 米国にとっても、この案は魅力がある。国内生産と雇用の維持・拡大をアピールできるほか、日本への自動車輸出拡大という長年の目標に道筋がつく。トランプ政権にとっても、内政的な成果として強調しやすい内容だ。

 本稿では、日本車の逆輸入という異例の通商手段について、その実現性と経済的な意義を多角的に検証する。

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