ビッグモーター事件が暴いた“業界の闇” なぜ自動車保険は「不透明」なのか? 損保会社「過去最高益」のカラクリとは
時代遅れの自動車保険制度
本件とは別に、財務省にはもうひとつ問題がある。それは、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の積立金7500億円のうち、約6000億円(正確には5952億円)を
「借りパク」
しているという事実だ。そもそも自賠責保険は、その役割をほぼ終えている。ならば、その6000億円を使って、任意保険レベルの補償に制度を一本化すればいいだけの話ではないか。そうすれば、自動車ユーザーの二重払いも解消される。本来、歓迎される改革のはずだ。
考えてみれば、安心して運転するために、あれこれと保険を重ねがけしなければならない乗り物は自動車だけだ。国民の移動を支えるはずの自動車が、こんな不可解な制度のもとにあること自体、おかしい。しかも、自動運転技術はすでに進化している。クルマは、事故を起こしにくい乗り物へと変わりつつある。それにもかかわらず、保険制度だけは時代に取り残されたままだ。表面的な制度見直しばかりが続き、実質的な改革には踏み込まない。代理店やユーザーへの負担ばかりが増えている。
ちなみに、自動運転の技術自体はほぼ完成している。人間が運転せずとも、車が走るだけの能力は実験レベルではすでに実現している。だが、事故が起きたときに誰が責任を負うのか――この問題が解決できていない。そのため、現実には衝突被害軽減ブレーキ程度の機能しか普及していない。もしかすると、
「自動運転が実用化されると困る勢力」
がいるのではないか。たとえば、損保会社や官僚たちだ。そんな疑念すら湧いてくる。これは、下種の勘繰りに過ぎないだろうか。自動車保険制度の抜本的な改革によって困るのは誰か。それは、
・自賠責の積立金を借りパクしたい財務省
・保険会社に天下りたい官僚
・ユーザーに何もせず保険加入させたい損保会社
この三者にほかならない。
2025年5月末現在、保険業法の一部を改正する法案が国会で審議されている。だが、その内容は代理店にばかり負担を押し付け、損保会社には何のおとがめもない。この構図が覆る見込みは薄い。自動車関連のコストが高いことは、都市部で自家用車が選ばれにくい理由のひとつになっている。それでもなお、ユーザーに高い保険料を負担させる仕組みは、変わりそうにない。
ビッグモーター事件があぶり出した「業界の闇」とは、損保会社が持つ強大な政治力そのものだったのかもしれない。