「リッター20円安」で地場ガソリンスタンド壊滅――コストコが暴いた“地域給油網”崩壊の真因とは
員制量販店の参入でリッター20円安の価格破壊が進行。全国の給油所はこの10年で2割減少した。構造的縮小の波の中、既存モデルの限界と価格以外の価値が問われている。地域インフラを再編し、生活の変化に耐えうる機能拠点へと転換できるか――その岐路にある。
系列外調達による価格競争力

一方、コストコの戦略は根本的に異なる。コストコはガソリンを利益源ではなく
「集客装置」
として位置づける。その収益の中心は
・年会費
・店舗での高回転商品による利幅の大きい売上
にある。つまり、ガソリン単体ではなく、会員制ビジネス全体のなかに燃料供給を組み込んでいる。ここでの価格政策は、損益分岐点をガソリン価格の外に置くことによって成立する。
加えて、調達先の多様化も特筆すべき点だ。従来の給油所は石油元売り大手の系列に属し、仕入れ価格や販売価格に制約を受ける。コストコはこの系列構造を回避し、商社などから割安調達で単価を引き下げているという(同紙)。これは従来の業界が形成してきた系列ネットワーク型価格体系の脆弱性を明確に示している。
業界団体が主張する「災害時の地域インフラ」としての給油所の価値は一定の説得力を持つ。しかし現実には、その機能は限定的であり、地域内での設備維持に関わるコストとリターンが釣り合っていないのが実情だ。
実際、地方自治体が非常時対応を給油所に依存する際の契約率は高くなく、緊急燃料備蓄体制や移動型給油設備(モバイルステーション)などを活用した代替システムの方が、費用対効果に優れる可能性もある。
仮に災害対応機能が重要ならば、それに見合った公的補助を制度設計として組み込むべきであり、既存ビジネスをそのまま維持する口実として用いるのは合理的ではない。