「走るな」「車道に出ろ」…じゃあ、自転車はどこを走ればいいのか? 30代女性死亡事故があぶり出した道路設計の致命的欠陥とは

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自転車はどこを走れば安全なのか――。滋賀県で発生した死亡事故が浮き彫りにしたのは、制度と現実の危険な乖離だ。車道走行原則を掲げながら、インフラ整備は後手に回る。社会的損失1億円超とされる重大事故が示すのは、今こそ制度より構造に手を入れるべきという警鐘である。

自転車政策と現場乖離

道路(画像:写真AC)
道路(画像:写真AC)

 事故の背景にあるのは、偶発的な不運ではない。むしろ日本の都市設計と交通政策の歪みを象徴する事象である。

 道路交通法では、自転車の車道走行が原則とされて久しい。2023年の法改正では、歩道走行の条件がさらに厳格化された。これにより都市部・地方を問わず、自転車の車道走行が常態化しつつある。

 だが、政策と現場の実態は大きく乖離している。そもそも自転車が走るべき車道とは、どのような空間を指すのか。都心部の一部幹線道路を除けば、地方や郊外の多くの道路は、自転車が安全に走行できる十分な幅員を備えていない。

 現場はガス管工事で片側二車線が実質一車線になっていた、自転車は歩道を通らざるを得ない状況だったというネット上の証言もある。実際、自転車専用レーンは整備されておらず、路側帯すら設けられていない区間も多い。

 こうした状況下での車道走行は、もはや自殺行為と化しかねない。それでもなお、警察や行政、政策立案者の間では、

「ルールを守らない利用者の責任」

に転嫁する傾向が根強い。

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