日本郵便が「7桁デジタル住所」に踏み切る根本理由──「曖昧な漢字住所」が招いた配送非効率、再配達「10%」に終止符は打てるか?
日本郵便は2025年5月、7桁の英数字による「デジタル住所」を導入した。これは1968年の郵便番号制度以来の大改革で、誤配や入力ミスの軽減にとどまらず、配送経済の根幹を数理的に再構築する試みだ。EC拡大による物流量増加と労働力不足のなか、既存の曖昧な住所体系は限界を迎えている。新コードは人の判断を機械化し、業務効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めている。市場構造や顧客管理の変革をも視野に入れた、この制度の全貌を読み解く。
7桁コードが変える流通網

日本郵便は2025年5月26日、7桁の英数字で個人の住所を一意に識別する「デジタル住所」を導入した。これは、1968(昭和43)年の郵便番号制度導入以来、配送という社会インフラの根幹に手を入れる半世紀ぶりの構造改革である。
日本経済新聞の報道では
・誤配や入力ミスの防止
・漢字に不慣れな外国人の利便性向上
といった利用者視点の利点が強調されている。だが、本質はそこにはない。今回の導入は、住所という情報を言語から数理へと置き換える試みであり、配送経済の基盤をアルゴリズムで再設計する動きにほかならない。
なぜこの制度が今導入されるのか。誰にとって意味があり、どのような市場構造を再定義しようとしているのか。その背景と狙いを分析する。