韓国・中国に敗北? LNG船受注の現実! 「400億円」超えで高騰、なぜ日本は「作れない国」になったのか
					脱炭素を追い風に急拡大するLNG市場で、運搬船の争奪戦が激化している。高度な技術と設備を要するため造船対応は一部企業に限られ、韓国勢が世界の6割を占拠。供給制約が価格高騰に拍車をかけるなか、日本勢は静かに舞台を去った。				
				
				役割と市場の重要性
LNGは、石炭や石油に比べて二酸化炭素の排出量が少ない。地球温暖化対策の観点から、世界的に注目されているエネルギー資源だ。脱炭素を進める各国では、LNGの輸入が加速しており、需要は拡大を続けている。
欧州はエネルギーと環境政策の転換が進む地域の一つだ。従来、ロシアからパイプラインでLNGを陸上輸入していたが、2022年のロシア・ウクライナ戦争の勃発により状況が一変した。輸入ルートが断たれたことで、欧州諸国はロシア依存からの脱却を急いだ。アメリカ、中東、アジアからのLNG輸入へとシフトが進んでいる。この流れにより、LNG運搬船の需要も急速に高まっている。
同時期には新型コロナからの経済回復も重なり、LNG価格は過去最高水準にまで高騰した。また、近年ではLNGを燃料とする船舶の建造も相次いでいる。背景には、2020年のSOx(硫黄酸化物)排出規制の強化がある。これにより、SOxの排出が少ない燃料への転換が進んだ。ただし、SOx規制だけではCO2削減には不十分だった。
そのなかで、CO2・NOx・SOxの排出が少ないLNGは、代替燃料として脚光を浴びている。LNG燃料船の建造数も大きく伸びており、このエネルギー転換がLNG需要をさらに押し上げている。国際的なエネルギー構造の再構築において、LNG運搬船が果たす役割はますます大きくなっている。