もったいない!? 飛行機がわざわざ空中で「燃料」をばらまく根本理由
航空機の燃料投棄は一見無駄に思えるが、安全運航のためには欠かせない措置である。燃料が投棄されるのは、緊急時や着陸前の重量調整のためで、これには厳格なガイドラインが存在する。実際、過去には燃料不足が原因で致命的な事故が発生した事例もあり、航空業界の安全を守るために重要な役割を果たしている。
航空機燃料投棄の合理性

国際エネルギー機関(IEA)によると、航空機のCO2排出量は2023年に約9億5000万トンに達し、これは世界のエネルギー関連CO2排出量の2.5%に相当する。2050年までにネットゼロ排出を達成するためには、低炭素燃料の使用割合を増やし、機体やエンジンの設計改善、運航の最適化、そして需要の抑制が必要だ。
そんななか、燃料投棄は「最適化」の反対の行動に見える。
世界の航空燃料市場は2023年に390億ドル(約5兆7000億円)に達し、今後も拡大する見込みだと国際航空運送協会(IATA)は予測している。
航空券の高額な理由のひとつは、航空機が大量の燃料を消費するからだ。それだけのコストがかかるものを、なぜあえて捨ててしまうのだろうか。その答えの一端は、2016年11月28日のラミア航空2933便墜落事故に見ることができる。
ブラジルのサッカークラブ、シャペコエンセがコロンビアでの試合のために手配したチャーター機が遭難。乗員・乗客のうち71名が死亡し、生存者はわずか6名だった。事故の原因は「燃料不足」だったと後の調査で明らかになり、大きな衝撃を与えた。