大阪メトロ「顔認証経済圏」の衝撃! さらば財布! 20代の3~4割が実践する“持たない生活” とは

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現金離れが進む中、「財布レス派」がついに4人にひとりに到達。小型化する決済手段は、長財布を手放した高齢者にも波及し、顔認証改札や無人決済店舗の登場が、パスケースすら不要な時代を現実にしつつある。

非接触時代の主役交代

パスケース(画像:写真AC)
パスケース(画像:写真AC)

 一方、海外の都市では、デバイスを使わない認証を導入するには別の問題がある。顔認証を使った公共交通の自動化は、多くの国で個人情報保護やプライバシーの問題とぶつかっている。

 例えば、欧州ではGDPR(一般データ保護規則)が強力に働いている。顔データの収集や保存、処理には厳しい規制がある。そのため、技術的には可能でも、制度や文化の問題で広く導入されていない。

 日本は状況が異なる。公共インフラとプラットフォーム企業の連携がしやすく、決定から実施までの時間も短い。生体認証を使った移動インフラの改革は、日本が世界で最初に試せる分野になっている。

 もし移動が端末やチケットを使わないものになれば、都市空間での商業活動は大きく変わる。ユーザーの行動に合わせて、リアルタイムで販促や広告を展開することもできる。これにより、従来の交通収入に頼らない新しい収益源が生まれる。

 もはやパスケースが必要かどうかは重要な問題ではない。大切なのは、都市の移動と決済をどう統合し、新しい収益モデルをどう作るかだ。ハードウェアを持ち歩くという前提を捨てれば、都市自体が巨大な認証装置に変わる。経済活動は、空間と行動が直接つながることで再構築される。駅も、改札も、レジも、もはや場所ではなくプロトコルになる。

 つまり、これは単なるガジェットや習慣の変化ではない。都市の仕組みそのものが変わるプロセスだ。この変化を見誤ると、交通事業者や小売業は、古い仕組みにしがみついて沈んでいくだけだ。今、必要なのは新しい前提での設計と運営だ。

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