いすみ鉄道危機、脱線から半年! 売上3割減・負債2倍…走り続ける意味はあるのか? カリスマ前社長の功罪、赤字ローカル線の価値を問う

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いすみ鉄道の長期運休は、脱線事故と経営危機が重なり、地域の鉄道事業に深刻な影響を及ぼしている。収益悪化と補助金依存が続く中、行政と地元企業がどのように支えるべきか、鉄道の将来を左右する難題が迫る。

削減予算で守る赤字路線

 行政も無策というわけではない。沿線自治体のひとつである大多喜町は、いすみ鉄道に対して多くの支出を行っている。予算書を見ると、同町は2024年度に6266万円、2025年度には6854万5000円を「いすみ鉄道対策事業」として計上している。

 今後、復旧には多額の費用が必要とされる。それにもかかわらず、予算の増額幅は小さい。ただし、予算書全体を見渡すと、他の事業予算を削って財源を捻出しようとする姿勢がうかがえる。例えば、地域公共交通対策事業は2024年度の3370万3000円から、2025年度には3339万円へと削減されている。

 地方財政が逼迫するなかで、こうした対応は決して容易ではない。それでも千葉県は、最大3億円とされる復旧費用のうち1億円を支援として計上している。さらに、大多喜町以外の沿線自治体も予算化や基金の取り崩しを行っている。限られた財源のなかで、行政はできる限りの支援を行っている。

 このような実態を踏まえれば、復旧の遅れを一方的に責めるのは適切ではない。むしろ、限られた人員と予算のなかで、

・安全確保
・経営再建

の両立を目指す現場や行政の苦闘こそ、正しく理解されるべきである。

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