いすみ鉄道危機、脱線から半年! 売上3割減・負債2倍…走り続ける意味はあるのか? カリスマ前社長の功罪、赤字ローカル線の価値を問う

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いすみ鉄道の長期運休は、脱線事故と経営危機が重なり、地域の鉄道事業に深刻な影響を及ぼしている。収益悪化と補助金依存が続く中、行政と地元企業がどのように支えるべきか、鉄道の将来を左右する難題が迫る。

「成功モデル」神話の終焉

いすみ鉄道(画像:写真AC)
いすみ鉄道(画像:写真AC)

 そもそも、いすみ鉄道が全国から注目されたきっかけは、2009(平成21)年に就任した鳥塚亮前社長の存在だった。

 鉄道ファン出身の鳥塚氏は、国鉄型気動車の導入など、次々と斬新な企画を打ち出した。情報発信力とマーケティングの手腕を活かし、観光鉄道としてのブランドを築いた。とくに鉄道ファンからの熱烈な支持を集め、「赤字ローカル線再生の成功モデル」として一時期は全国的に脚光を浴びた。

 しかし、2025年現在、いすみ鉄道は事故による長期運休と経営悪化に直面している。なぜあの輝きは失われたのかと疑問を呈する声も少なくない。復旧の遅れや財政危機に対する苛立ちは、「あの頃はよかった」という記憶と結びつき、現経営陣への批判へと向かっている。

 だが、ここで冷静に見ておきたいのは、鳥塚氏時代の成功も補助金と特別な熱量に支えられた一時的な反転攻勢にすぎなかったという点だ。

・鉄道ファンの支援
・限定的な観光需要
・全国メディアの注目

といった外的要因が重なって初めて成り立った成功だった。それを持続可能な経営モデルに昇華させるには、別種の制度的・資本的なバックアップが不可欠だった。

 結局のところ、問題は個人の有能・無能ではない。老朽インフラの更新、人材の確保、安全投資といった現実的な課題。そして、それらを乗り越える制度設計の難しさが、いすみ鉄道の歩みから浮かび上がってくる。

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