黒字化まで19年! 大江戸線延伸「採算神話」の正体とは? なぜ練馬区が実現に近づけたのか?

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東京都が2040年の開業を目指す大江戸線延伸計画が、いよいよ実現段階に突入した。光が丘~大泉学園町の区間は、B/C2.1・NPV500億円超と高採算が見込まれ、練馬区は110億円の基金や都市改造で着実に布石を打つ。停滞から一転、地域主導のインフラ整備が動き出した。

区画道路11本が支える拠点形成

鉄道空白地域の利便性向上(画像:練馬区)
鉄道空白地域の利便性向上(画像:練馬区)

 もうひとつ、練馬区が取り組んだのが、採算性を確保するための都市改造である。延伸に必要な乗客数を見込むための施策だ。

 特に注目されるのが、延伸区間の骨格となる都市計画道路・補助230号線および233号線の整備だ。さらに、それに沿った複数地区で、地区計画の策定や用途地域の変更も行われた。補助230号線の真下を大江戸線が通る予定であり、この沿線ではすでに88%の用地整備が完了している。土地区画整理も進み、周辺の街づくりの段階に入っている。

 例えば、補助230号線と北の越後山通りをつなぐ補助233号線沿いでは、住民や事業者との協議を経て、以下のような都市設計が進められている。

・容積率の引き上げ(一部地区で200%から300%へ)
・高度地区指定の見直し(建物高さ制限の緩和)
・防火地域への格上げ(延焼遮断帯としての沿道活用)
・建築物の用途・意匠・色彩に関する詳細な制限
・土地の細分化防止(敷地面積の最低限度設定)
・生活道路ネットワークの拡充(11本の区画道路を新設)

こうした制度整備の狙いは、新駅周辺に中高層住宅や複合機能施設を誘導し、居住人口や利用者を安定的に確保することにある。また、防火地域の指定や敷地面積の下限設定により、災害に強く、秩序ある都市基盤の形成も視野に入れている。

 敷地面積の下限や区画道路整備によって乱開発を防ぐ一方、容積率の緩和や高度地区の見直しで中高層マンションや医療・商業施設の建設を可能にする。これは、延伸によって設けられる駅を、単なる通勤・通学の通過点ではなく、まちの中心に据える戦略だ。

 延伸地域である土支田・大泉町・大泉学園町は、これまで最寄り駅まで徒歩1km以上かかる住宅街だった。住民の多くは、バスを乗り継いでの移動を日常的に強いられていた。23区内にありながら、鉄道による都市的なアクセスに乏しい。

 とりわけ高齢者や子育て世代にとっては、通勤・通学・通院といった日常移動の負担が大きかった。この立地の弱さは、23区という地理的条件を持ちながらも、地域の潜在力を十分に発揮できない一因となっている。

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