まさかの「紙の整理券」復活? 広島電鉄「PASPY終了」でバス決済混乱! 地域カード終焉が招く不便とは
広島電鉄の新たなキャッシュレス決済「Mobiry Days」は、全国交通系ICカードを超える機能を誇るが、導入過程で多くの課題が浮き彫りになっている。車内チャージ機能や広島バスとの決済手段の違いが混乱を招き、地方行政の財政配分にも影響を与える問題が顕在化している。
淘汰される独自規格

日本のキャッシュレス決済を語るうえで、「おらが町の交通系ICカード」の存在は無視できない。SuicaやPASMOといった全国共通カードではなく、地域の交通事業者が発行するローカル仕様のカードだ。本稿では、それらを便宜上「地域カード」と呼ぶ。
地元での移動や買い物に限れば、地域カード1枚で十分対応できる。私鉄、路線バス、商店での支払いに使え、独自の割引特典が用意されている場合も多い。住民にとっては、日々の生活を支えるインフラになっている。
しかし近年、この地域カードが全国ブランドの交通系ICに押され、次々とサービスを終了するケースが出てきた。
広島県「PASPY」のサービス終了
広島県内の交通事業者が参画していた地域カード「PASPY(パスピー)」。2008(平成20)年から地域の交通インフラに組み込まれていたが、2025年3月、ついにサービス終了を迎えた。
もともとPASPYは、磁気式プリペイドカード「バスカード」の後継として登場した。しかし、導入から15年以上が経過し、端末機器の老朽化は避けられなかった。加えて、機器やシステムの更新には多額のコストがかかる。さらに、PASPYは全国交通系ICカードに非対応という弱点も抱えていた。
こうした要因が重なり、地域住民に惜しまれつつも、PASPYはその役割を終えることとなった。
現在、広島県内の鉄道やバスでは、全国交通系ICカードに対応した機器への切り替えが完了している。だが、その導入過程で想定以上の混乱が生じている。