就航遅れる大分のホーバークラフト――何が問題となっているのか? 事故多発、トイレ問題、そして「速さ」の代償とは

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大分空港と市内を結ぶホーバークラフトの就航が遅れている。2024年11月から遊覧運航は始まったが、接触事故や運航基準の厳格化で本格運行は未だ見通せず。特に、トイレ問題や安定運航の課題が浮き彫りとなり、期待される交通革命が先送りとなっている。

「16年ぶりホーバー復活」新体制で再挑戦

英国製の大分第一ホーバードライブ2番船「Banri(萬里)」。船ごとに少し異なっているデザインにも注目して欲しい(画像:若杉優貴)
英国製の大分第一ホーバードライブ2番船「Banri(萬里)」。船ごとに少し異なっているデザインにも注目して欲しい(画像:若杉優貴)

 約40年で姿を消した大分ホーバーフェリーだが、大分空港からJR大分駅までは高速バスで約1時間を要する。渋滞が起これば、さらに時間が延びる。ホーバークラフトの優位性は薄れていたとはいえ、その速達性を懐かしむ声は今も大分市民の間に根強い。

 加えて、隣県・福岡にある福岡空港はJR博多駅から地下鉄で5分と利便性が高い。このため、大分県を訪れる観光客の多くが福岡空港を利用している現状がある。こうした背景もあり、大分空港の利便性向上は地域の重要課題とされてきた。

 そこで注目されたのが、ホーバークラフトの復活だった。かつての運航会社「大分ホーバーフェリー」は第三セクター方式だったが、復活プロジェクトでは新会社「大分第一ホーバードライブ」が2022年に設立された。

 この会社は、全国でバス・タクシー事業を手がける第一交通産業(福岡県北九州市)の子会社にあたる。今回の事業では、大分県が船舶や運航施設を保有し、民間事業者である同社が運航を担う公設型上下分離方式を採用。事業者の初期負担を抑えつつ、収益性の確保を図った。第一交通産業は、大分県出身の創業者を持ち、地元とゆかりの深い企業でもある。

 なお、旧来のホーバークラフトは国産だったが、現在の国内には旅客用ホーバークラフトの製造企業が存在しない。このため、今回は英国・グリフォン・ホーバーワーク社製の「12000TD型」を採用。大分県は約42億円を投じて新造船3隻を購入した。船名には、大分出身の江戸時代の学者にちなんで

・Baien(梅園)
・Banri(萬里)
・Tanso(淡窓)

の名が与えられた。

 運航会社は当初、2023年度中の就航を目指していた。2023年8月には1番船「Baien(梅園)」が到着し、2024年2月までに3隻すべてが大分に揃った。最高速度は時速80km。大分空港と西大分港を約30分で結ぶ計画だ。予定より遅れたものの、2024年11月には試験運航を兼ねた遊覧航行を西大分港で開始している。

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