就航遅れる大分のホーバークラフト――何が問題となっているのか? 事故多発、トイレ問題、そして「速さ」の代償とは

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大分空港と市内を結ぶホーバークラフトの就航が遅れている。2024年11月から遊覧運航は始まったが、接触事故や運航基準の厳格化で本格運行は未だ見通せず。特に、トイレ問題や安定運航の課題が浮き彫りとなり、期待される交通革命が先送りとなっている。

降って沸いた「トイレ」問題

西大分港のホーバークラフトターミナル「ホボッタ」コンコース。駅からは離れてるものの、大型駐車場を備えることも特徴だ。船内にトイレはないが、ターミナル内には充分な数のトイレが設置されている(画像:若杉優貴)
西大分港のホーバークラフトターミナル「ホボッタ」コンコース。駅からは離れてるものの、大型駐車場を備えることも特徴だ。船内にトイレはないが、ターミナル内には充分な数のトイレが設置されている(画像:若杉優貴)

 2025年4月に入って、新たな問題が指摘されるようになった。それが「トイレ問題」だ。この問題は、4月1日に大分県知事が定例記者会見で課題として挙げたものだ。ホーバークラフトの大分空港~大分(西大分港)間の所要時間は約30分と短いため、現在大分第一ホーバードライブの各船にはトイレが設置されていない。

 船舶安全法に基づく省令「船舶設備規程」では、沿海以下の航行区域を有する旅客船で、航行予定時間が極めて短いものにはトイレを設置する必要はないと定めている。この規定に基づき、九州運輸局の内規では、所要時間が「おおむね30分以内」とされている。しかし、ホーバークラフトは厳しい運行基準を設けており、天候によっては徐行が発生することもある。悪天候時には所要時間が30分を超えることも考えられる。

 以前運航されていた大分ホーバーフェリーも同様の所要時間で、天候によって遅延することはあったが、最後までトイレは設置されなかった。また、大分交通の高速バス「エアライナー」も所要時間が長いが、トイレは未設置だ。

 乗客にとって、トイレがないよりはあった方が便利だろう。もしトイレが設置されれば、大分空港~大分間や別府湾遊覧以外の長距離航路にも期待が持てるかもしれない。だが、ホーバークラフトにトイレを後付けするには多額の改造費用と時間がかかる。過去、ホーバークラフトが英国から回送された際、日本までの所要時間は最長約3か月(喜望峰経由)だった。工場への往復だけで半年近くかかることもある。

 さらに、トイレを設置するためには地上での汚物処理設備や処理費用も必要となり、乗船定員が減るため収益性にも影響を与える。そのため、トイレを設置するかどうかはまだ決まっていない。

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