飛行機vs新幹線 「速さ」で勝負? ANAが挑む物流改革、離島物流の未来を切り開くのはどちらだ? 五島列島鮮魚当日配送を考える
ANAが空輸を活用し、離島で朝に獲れた鮮魚をその日のうちに店頭で販売する取り組みを始めた。背景には、陸路物流が直面する「2024年問題」がある。
高鮮度輸送を競う新旧インフラ

近年、航空会社の動きとよく比較されるのが、JR各社による新幹線を活用した貨物輸送である。各社はこの分野に本腰を入れ始めている。
新幹線貨物と航空貨物は、いずれも最大の特徴が「速さ」にある。取り扱われる品目も共通点が多い。鮮度が価値を左右する生鮮食品や、医薬品、精密機器など、高単価でかさばらない商品に限定されがちである。
しかし、両者には構造的な違いがある。新幹線はあくまで
「旅客専用」
として設計されたインフラであり、車両も駅施設も貨物輸送を前提としていない。一方、航空機は旅客機であっても胴体下部に貨物スペースを備えている。空港設備も、当初から貨物取り扱いを想定した設計となっている。
新幹線による貨物輸送では、近年ようやく専用車両や専用列車が導入された。従来は駅の構造上の制約もあり、車両基地での積み下ろしや、車内販売準備室、回送列車を活用する貨客混載の試行錯誤が続いていた。
一方、航空輸送は当初から貨客混載が
「標準仕様」
である。空港内での積み替えもスムーズに行える仕組みが整っている。トラック輸送によるラストワンマイルが必要となる場合でも、空港間の移送は同一航空会社で一気通貫のオペレーションが可能だ。
この特性は、羽田や伊丹といった主要空港への直行便がない離島空港でも有効に働く。たとえば五島列島で朝に水揚げされた天然鮮魚が、1000km以上離れた首都圏のスーパーの店頭に当日中に並ぶ。まさに航空輸送の利点を象徴する事例である。