神戸が「オワコン」なんて誰が言ったんだよ(怒)
神戸市は衰退しているという説に反論する。人口減少が進む中、中心部の人口は微増し、健全な財政と再開発の進展が都市の未来を支える。震災からの復興を経て、再生計画に注力する神戸市の現状と課題を探る。
都市の空洞化を防ぐ知恵と投資

現在の神戸市が目指しているのは、多元的なコンパクトシティである。2020年3月に公表された『神戸市都市空間向上計画~次世代に継ぐ持続可能なまちづくり~』には、その全体像が示されている。このなかで神戸市は、今後の方向性を次のように記している。
「神戸の都市空間は、海・山・まち・田園などで構成されており、既成市街地やニュータウン、海上都市から農村集落まで個性豊かな地域が多くあります。地域の魅力・資源を有効活用し、さらに磨きをかけ、多様なライフスタイルを実現できる都市空間をめざします」
この方針をもとに、神戸市は次のような具体策を掲げている。
・鉄道駅・主要バス停周辺への居住と都市機能の誘導
・地域特性に応じたエリア別の再構築
・公共交通ネットワークの維持と最適化
・災害に強いまちづくりとインフラ更新の両立
・空き家・低未利用地の活用と都市のスポンジ化対策
なかでも注目すべきは、「都市のスポンジ化」への明確な対応策を示している点だ。人口流出が進むと、空き家や空き地が増え、都市の密度が下がる。見た目には都市が維持されているようでも、実際には中身が抜け落ちたスポンジのような状態になる。
それでも、道路や上下水道、公共施設といった都市のインフラは維持管理が必要だ。人口が減っても、それらの維持には一定のコストがかかる。その結果、税収が減る一方で支出は減らず、都市経営は徐々に財政的な負のスパイラルに陥る。
この悪循環を防ぐため、神戸市は地道な施策を展開している。生活利便施設が不足している地域には、キッチンカーや移動販売車を導入(実証実験を経て民間に委託)。また、北神急行電鉄を市営化し、運賃を引き下げる取り組みも進めている。