神戸が「オワコン」なんて誰が言ったんだよ(怒)

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神戸市は衰退しているという説に反論する。人口減少が進む中、中心部の人口は微増し、健全な財政と再開発の進展が都市の未来を支える。震災からの復興を経て、再生計画に注力する神戸市の現状と課題を探る。

黒字連発が示す財政回復力

神戸市(画像:写真AC)
神戸市(画像:写真AC)

 神戸市が公表している「2022年度(令和4年度) 決算の概要」を見てみよう。この資料によると、神戸市は2022年度決算で11億2700万円の実質収支黒字を確保している。前年度も10億3700万円の黒字を計上しており、財政調整基金、いわば自治体の貯金に積み増しができるほどの余裕がある。

 もちろん、こうした健全な財政は、震災の翌年から約15年にわたり続けてきた行財政改革の成果である。

・新規採用の抑制
・希望退職による人員削減
・市民サービスの見直し

など、痛みをともなう取り組みがあってこそ得られた結果だ。

 ただし、予算規模が1兆円を超えることを考えると、黒字の幅は決して大きいとはいえない。今後の財政運営にも慎重な姿勢が必要だという点は、忘れてはならない。それでも、神戸市の財政状況は他の都市に比べて良好である。

 例えば、2024年1月16日のNHK報道によると、神戸市が阪神・淡路大震災からの復旧・復興のために発行した地方債の残高は708億円にのぼる。返済完了まであと10年あまりかかる見込みだ。

 たしかに重い負債ではあるが、他都市に比べれば金額は少ない。2021年度決算における政令指定都市の市民ひとりあたりの市債残高を見ると、神戸市は約43万3000円だった。大阪市は約54万7000円、京都市に至っては約70万5000円と、神戸よりはるかに高い。さらに、一般会計のうち借金返済にあてる割合を示す「実質公債費比率」は4.8%にとどまる。これは政令指定都市のなかでも極めて低い水準である。

 これらの客観的なデータを踏まえると、一部で語られる神戸市衰退論は、少なくとも財政面においてはミスリーディングである。震災の影響が今なお残っているのは事実だが、徹底した行財政改革によって、神戸市は他の中核都市と比べても健全な財政運営を維持している。

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