60兆円の経済効果! 「東名高速」が物流・産業に与えた革命的インパクトとは? 一方で「老朽化」のリアルと迫る維持費問題も
東名高速道路は、開通から約56年にわたり、日本の経済を支える重要な役割を果たしてきた。物流から都市間移動、工業発展まで幅広い影響を与え、年間約60兆円の経済波及効果を誇る。しかし、老朽化やトラック駐車スペースの不足、環境問題など、今後の課題も多く、持続可能な運営のための革新が求められている。
物流業界の逼迫する課題

一方で、今後の課題も少なくない。
まず、最も大きな課題は道路や施設の維持にかかる費用だろう。東名は全線開通から半世紀以上が経過し、連日多くの人々が利用しているため、道路や施設の耐久性は次第に低下している。
近年では定期的に補修工事やリニューアル工事が行われているが、完全な修復には至らず、工事の回数も増加しているため、利用者の利便性に影響が出る場面も増えている。特に、東京ICから神奈川県の東名川崎IC、また、静岡県の富士ICから清水IC間は、交通量が多く、道路の老朽化が進んでいるため、長期的な工事が求められている。
物流に関する課題もある。物流業界に大きな経済効果をもたらしている東名だが、特に
「大型トラックの休憩スペースの不足」
が問題となっている。サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)には大型車用の駐車スペースが設けられているものの、東名は大型トラックの通行量が圧倒的に多いため、駐車スペースが不足している。これが原因で、大型トラックのドライバーには大きな負担がかかり、本線料金所手前に駐車しているトラックが目立つようになっている。また、人口や労働力人口の減少にともない、ドライバー不足が今後ますます深刻化することが予想される。
さらに、環境問題への対応も重要だ。東名は交通量が非常に多いため、二酸化炭素排出量も膨大である。普通車においては、電気自動車(EV)や水素自動車、ハイブリッド車の普及が進んでいるが、これと同様に、大型車にも環境に優しい車両の導入が求められている。