中部横断道「開通3年」で激変? 経済効果367億円、なぜ地域活性化? 輸出10倍増、観光客2割増!無料区間がもたらす恩恵を考える

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中部横断道の開通により、山梨と静岡間の移動時間が最大30分短縮。これにより観光業や物流の活性化が進み、地域経済は顕著な成長を見せる。さらに、災害時の安全性向上など、住民の生活にもポジティブな影響を与えている。

アクセス向上で生まれる経済効果

全線開通から約3年半が経過した中部横断道(画像:都野塚也)
全線開通から約3年半が経過した中部横断道(画像:都野塚也)

 2000年代に入り、日本の高速道路は、各地方の主要な路線だけでなく、主要路線同士や主要路線から地方部への接続路線が次々と開通してきた。そのなかでも、静岡県、山梨県、長野県を結ぶ中部横断自動車道(中部横断道)は、重要な路線のひとつである。中部横断道は、静岡県の新清水ジャンクション(JCT)から長野県の佐久小諸JCTを結ぶ、総距離132kmの路線だ。

 2025年3月時点、山梨県と長野県を結ぶ北側部分は断片的に開通しているが、静岡県と山梨県を結ぶ南側部分は、2021年8月29日に全線開通した。静岡県と山梨県は、古くから交流が盛んな地域であり、主要な幹線道路として「国道52号線」が通っている。しかし、それまで高規格道路が整備されていなかったため、所要時間が非常にかかり、両県間の交流は全国的に見ても少ない状態だった。仕事とプライベートで年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)は山梨県出身であり、静岡県よりも高速道路がつながっている長野県に行く機会が多かった。

 その状況を一変させたのが、中部横断道の開通だ。この開通により、静岡県と山梨県のアクセスは格段に向上した。アクセス向上による所要時間の短縮だけでなく、多方面にわたる経済的な効果も生まれている。実際、経済効果は全体で

「年間約367億円」

に上り、静岡県と山梨県だけで年間約259億円に達している。これは大きな数字であり、両県の経済に与える影響の大きさを示している。

 中部横断道の南側部分は全線開通から約3年半が経過し、国土交通省関東地方局甲府河川国道事務所からは、全線開通によるさまざまな効果が発表されている。これを参考にしながら、同道が日本の交通や経済にもたらす影響について考えていきたい。

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