中部横断道「開通3年」で激変? 経済効果367億円、なぜ地域活性化? 輸出10倍増、観光客2割増!無料区間がもたらす恩恵を考える
地価上昇、投資拡大の好循環

中部横断道は産業面でも大きな貢献をしている。
2007(平成19)年以降、中部横断道のインターチェンジ(IC)から5km圏内での設備投資額は約500億円に達している。特に、南側部分の全線開通を2年前に控えた2019年からは、投資が飛躍的に増加しており、開通に合わせた投資の増加が見て取れる。
その結果、中部横断道沿道の工業地帯では地価が右肩上がりに上昇しており、山梨県内の工業地帯全体では、全線開通前と比べて平均で5.7%の地価上昇を記録している。企業の立地や進出も進み、特に
・甲府市
・甲斐市
・南アルプス市
周辺では新たな企業進出が著しく見られる。2025年には南アルプス市に大型商業施設が開業予定で、さらなる期待が寄せられている。
観光業に貢献する中部横断道の効果

中部横断道の開通は観光面にも好影響を与えている。実際、静岡県と山梨県を訪れる観光客は増加しており、特に山梨県では他県ナンバーの車を見かけることが多くなった。
中部横断道の唯一のパーキングエリアである増穂パーキングエリア(PA)と、下り線のみだが行き来が可能な道の駅富士川では、2024年の年間集客数が50万人を超えた。2019年の約40万人から約2割の増加となり、中部横断道開通の効果が現れている。
山梨県では、中部横断道沿道だけでなく、甲府市周辺や富士五湖周辺でも観光客の増加が目立つ。静岡県でも、静岡市や沼津市などの静岡東部、浜松市などの静岡西部への観光が好調だ。
さらに、観光客の中部横断道沿道の観光地での平均滞在時間や平均滞在か所も増加しており、具体的には以下の通りである。
・平均滞在時間:開通前225分 → 開通後236分
・平均滞在か所:開通前1.08か所 → 開通後1.14か所
この変化は小さなものかもしれないが、中部横断道が観光業に与えている貢献は確かである。